2014年8月7日木曜日

ベントレー シートコンピューターのリペア  Part1

SZ系のロールス&ベントレーの宿命で、パワーシートのコントロールが必ず利かなくなる。その原因は、ECU内部の小さなバッテリーが液漏れを起こし、配線関係が駄目になってしまうのである。

今回難儀したのは、シートが動かないので、シート下に固定してある20cmサイズのECUが取れないのだ。インターネットを駆使しても、このECUのはずし方はどこにも載っていない。唯一、一台が何とか動いたので、シートレールを固定している5mmのトルクスを外してもらったが、相当堅かったようだ。今回の作業で奥崎工場長は、シートを前後左右にさすってみて、「これはここだけ外れますね」と見きわめ、背面側から下の隙間に布ベルトで固定しているフックを発見し、あっという間に座面を持ち上げて、ECUを取り外してしまった。



作業の留意点として、このECUにつながっているケーブル類が複雑にタイラップで固定されており、狭い場所に手を入れて、丁寧に外さなければならない。

私が昨年の秋から悪戦苦闘しているのに、たったの一時間で二台とも脱着完了。さすがプロの仕事である。プロにお願いするのは、技術を買うとともに時間を買うのだと痛感した。

ベントレーのECUのリペアの定番は、英国の業者に本体を送ると、リペア済みのものが返送されてくる。日本円でおおよそ45000円もする。二台で4個だから税金や送料で20万円コースである。

そこで、色々と調べたところ、このECUは初代のレンジローバーと同じ部品であり、専門のリペア業者がいくつか存在するのだ。そのうちのひとつが、滋賀オーディオサービスさんである。

以下は、お見積もりのメールです。

4セット拝見させて頂きました、4台共両面基盤に腐食がかなり進んでいます、
1セットはリレー接点まで腐食して有りこのリレーは特殊ですので接点修正を考えております。
4台共両面プリント基盤パターン修正、ジャンパー修正、基盤腐食防止コーティングをします。
交換部品:ニッケル水素電池、電解コンデンサー3個、

セラミックコンデンサー3個、

コンパレータIC2個、ダイオード1個、抵抗2個交換になると思います。
(セットにより交換部品の数量が変化します。)
4台共改善修理を考えて降りますがかなり腐食が進んでます、当社では交換部品回路点検は出来ますが
車両装着通電TESTが出来ません、完了後お客様にTESTをお願いする事に成ります。
修理見積りですが、1セットで約工料12.000円+部品3.500円=15.500円
送料4セット一箱1.000円+消費税です。
例15.500円×4=62.000円+送料1.000円+消費税5.040円合計68.040円

では、具体的にどのようにリペアするのかを専門業者である滋賀オーディオサービスさんのブログから転載。

VARTA製電池の液漏れでプリント基板腐食誤動作、動作しない故障。電池とコンパレータICを外しますとほとんどこの様な状態になっています。

 誤動作で別の回路まで故障が出る時も有ります、写真の腐食はまだ初期状態ですがかなりひどい状態も有ります。動作回路を確認してプリントパターンを修正不良部品交換、改善完了後基盤腐食防止コーティングをして完成。

20年以上前の英国車のECUを本国よりも高い修理技術とリーズナブルな修理費用でやってのける業者があることを知り驚いた。このような名も無い職人の持つ倫理観、が日本の底力なのではないか。

7 件のコメント:

meitei さんのコメント...

この記事には感動しました。高い技術と良心的な値段設定に頭が下がりますね。まだまだ日本も大丈夫の念を強くもちました。

旧車の維持の限界はECUだろうな〜と、常々、思っていました。旧車のドイツ車(たとえばW124のE500)でも、中古完動のECUがオークションで超高値をつけているようで、修理のネックになっていると聞いた事があります。なんと・・・基盤レベルで直すんですね。半導体素子なんかだと当時の部品は入手できないですから、代替品の選定など、高度の専門知識が必要なんでしょうね。

車ではありませんが、私も20数年前の往年の名器:フィリップスLHHシリーズのCDプレーヤーの故障で、専門修理業者(フィリップスのCDM4メカ専門)を探して、修理を依頼した事があります。かなり大変な作業だった筈なんですけど、見事に完調の状態を取り戻し、大変に嬉しかった事を思い出しました。

それにしても、旧車の維持には情報収集能力が必須なんだな〜と思い知らされました。

Felipe 四世 さんのコメント...

meiteuさま、コメントを頂きありがとうございます!
かなりマニアックな記事ですから、参考になる方は少ないと思いますが、ご意見を頂き、嬉しい限りです。

ECUのリペアは、オーディオの基盤と同じ考え方ですね。しかし、一個直すのに、15000円とは破格値だと思います。

meiteiさんもおっしゃる様に、情報収集は非常に大事ですね。まさか、初代レンジローバーとベントレーが同じECUだとは、インターネットで探しても、どこにも記載が有りませんでした。

また、シートの外し方も、日本語で検索するとほとんど出てきませんが、英語だと呆れるくらいにヒットしますね。

芝公園のプリンスでまたオフ会したいですね!

あの時の黒ベントレーも、ウォータポンプのベアリングが唸ってウルサかったし、足まわりもやや固かったですが、

silicaのベントレーは、金沢のSatoru氏のミュルザンヌに近い乗り味ですよ。

gorgo_nk さんのコメント...

私の車(W140S600AMG)も丁度二十歳の誕生日を迎え、足回りはリフレッシュしたもののエンジン、AT、ハーネス、ECU他は心配の種です。
交差点で立ち往生は経験したくなもので。。

奥崎工場長には半年ごとの定期点検でお世話になっております。
先月にブルー?のベントレーが止まってましたが、Felipe四世さんの愛車だったのかも。

Felipe 四世 さんのコメント...

Golgo様、コメントありがとうございます!私のベントレーは、黒なんですよ。もしかして、見間違えですか?それか、他のベントレーかも。
AMGS600Lは、昨年までのメインで使用していましたが、ノーマルと比較して、色んな意味で、究極の車ですね。

W220からは、ビターボで500PSにアップしましたが、車としての作り込みの気合いが凄いですね。

gorgo_nk さんのコメント...

Felipe4世さま

実は色をはっきりと覚えてなく、、黒と言われると黒だったかもしれません。
拝見したのは確か7月上旬のことでした。

AMGは二年弱乗ってようやく良い車だと分かってきた様な気がします。
しかしながら所有を続けるか否か迷っているところです。
家庭のプレッシャーから新しい車に乗り換えるか。。 車仲間から、AMGだしこのまま手を入れながら維持すれば将来価値が上がるかもよ?と囁かれるとその気になったり。。もちろん自身でしか決められませんので悩みながらもうしばらく走ってみます。


Felipe 四世 さんのコメント...

Golgoさま、AMGS600Lについて、コメントを頂きありがとうございます。
私は、ノーマルの600SELとAMGS600Lを同時に保有していましたから、違いを申しますと、エンジンのフィーリングは初期型の方が良いです。AMGS600Lのエンジンは、メカニカルなチューンは無く、エンジンがやや高回転型になっており、普段使いには良さが分かりにくいですね。かといって、飛ばしても官能的なエンジンではないですし、足まわりも熟成がイマイチで、重たいAMGのホイールや、ブレーキがプアーな事、など色んな意味でAMGは、バランスは悪いですね。

ただし、内装の作り込みは見事で、この点だけは、歴代のベンツでは最高峰に位置すると思います。

W140も、もう少しでネオクラシックに入ると思いますが、色んな意味で苦労が有りますね。

私は、昨年にW140を二台とも売却して、E65 760Liに乗り換えて、非常に満足しています。

W220にいくと、後悔するかも知れないですが、760Liでしたら、きれいさっぱり、W140のことは、忘れられました(笑)

gorgo_nk さんのコメント...

Felipe4世さま

コメントありがとうございます。

AMGとノーマルの比較感、参考になります<(_ _)>

W140二台売却→BMW760iLできれいさっぱり過去の車!
こちらも参考にさせていただきます!!