2008年5月4日日曜日

ロールスロイスシルバー・スパーⅡのタイア交換


Z系と呼ばれるロールスやベントレーの純正タイアのサイズは、235/70/R15、255/65/R15という特殊なサイズで、現在日本で入手できる銘柄は、AVONのTurboSteel、コンチネンタルのエココンタクト、GOODYEARなどがありますが、普通のタイア屋ではまず在庫はありません。RV用なら一般道重視のTOYOや、ミシュランなどがありますが、トレッド・パターンや、サイドウォールのデザインが、やはりこのクルマの雰囲気を台無しにする恐れがあり、対象外となります。


私は二年前、ベントレーの旧くなったAVONを、コンチネンタルに交換しました。純正は255/65/R15ですが、乗り心地と費用対効果重視で、235/70/R15に変更しております。コンチネンタルは、1本1万4千円程度とリーズナブルで、ベンツの純正指定にもなっているように、品質には問題はありません。 しかし、自動車評論家 福野礼一郎氏の「極上中古車の作り方」によると、「AVONは極上の乗り心地、ロールスはAVONに限る」とのことで、どうしても、三月に納車されたルバースパーには、AVONのそれもホワイトリボンを装着したいと、考えておりました。


問題は値段です。コーンズ純正価格は、7万円以上らしく、通販で買っても5万程度とかなり高い。ならば、英国から直輸入するという手がありますが、イントロカーという英国のオンラインショップの価格は、およそ1本100ポンド(2万円)に、8万円の送料が負荷されます。あまりお徳感が無い。 しかし、米国のあるサイトで、http://www.tirerack.com/1本あたり177ドルというのを見つけ、送料込みの見積もりを取ると、送料の200ドルを加えて、合計で1000ドル程度で購入できそうです。1本あたり2万5千円ということですね。

ちなみに、このお店は、米国以外の居住者にはカード決済不可なので、海外電信送金をする必要があります。大手都市銀行ですと、大体、6500円相当がかかります。手続き後、その晩のうちに確認メールが到着し、四日後には自宅に到着。世界的なITと流通革命のすごさを感じます。
日本において、ドイツ車は、安価な輸入OEMパーツの登場で、整備コストが飛躍的に低下し、旧車のコンディション維持に大いに貢献したと思いますが、英国車、イタ車、仏車は、いまだその途上にあり、特に高級車においては全くのブラックボックスという状態だと思います。その理由の一つは部品の流通コストにあるのですが、これは専門ショップですら、ディーラーから部品を購入していることが多く、独自のルートを持っているところはまだまだ少ないと言えます。
しかし、この円高を利用しない手はありません。ユーロ高、ドル安の現在、欧州車の部品も米国経由個人輸入や、ヤフオクでの中古部品など、10年前の数分の一のコストで手に入ります。 日本の欧州中古車の価格は二束三文、整備代もリーズナブル、任意保険も安く外車天国です。暫定税率の廃止で、ガソリンも先進国で最低レベル、重量税も下がってきたし、強制保険も下がります。自動車税だけは、頭痛の種ですが。。
その後、自宅に戻り、ロールスのタイアを交換に、港北インター近くの、とある中古タイアショップに、持ち込み交換に行きました。高速も空いているので、40分程度で到着。お店は、失礼ですが、「サブプライム」な感じが充溢しており、如何にもな感じ。店員さんは全員二十代の若者ばかりです。タイア交換の持ち込み交換工賃は、交換、バランス取り、タイア廃棄代金も含めて、なんと1本 1250円なり。これは安いです。しかし、作業現場には、リフトも無く屋根も無い。一台づつ青空でジャッキアップして、交換しています。


この時代の、SZ系のロールスのホイールには、数種類あり、私のはアルミ製で、ステンレス製のトリムと、塗装したホイールキャップが付いていました。これらを固定するアタッチメントが付いているので、これらを加味してバランスとらないといけません。普通、タイア交換なんて二十分くらいで終るのですが、今回はホイルの脱着とバランス取で苦労したので、作業は一時間以上かかりました。


では、交換後のインプレッションは、、、まず、以前の交換から7年くらい経っているので、相当に劣化がひどく、三部山しかなく、ショルダー部分にひび割れがあり、遠目にもみすぼらしい感じでした。当然、バランス狂っているので、振動もひどく、100kmでも怖い感じでしたが、交換後は、140kmでもまっすぐに走りますし、ブレもほとんど解決しました。

最後にAVONタイアの乗り心地を報告しましょう。私の主観では、まだ、新品という事も考慮しても、AVONは、福野氏が著書で絶賛しているような「とろけるような極上の乗り心地」という程の感銘は受けませんでした。 これは、私が普段使っている車で、BSのレグノやヨコハマのdbなどの静寂製と高性能を両立させたタイアに慣れているせいもありますが、ベントレーに装着している、ドイツ製のコンチネンタルのエコ・コンタクトに比べても、明確に優れている点は特に感じられませんでした。コンチネンタルはF1などに参戦していないので、日本ではまだ知名度は低いものの、ドイツではベンツやBMWの純正指定メーカーであり、ハイパフォーマンス車ではAMGなどにも純正指定されている高級ブランドですから、AVONとは格が違うと思います。

AVONは、コーンズ価格が馬鹿高いので、過剰な品質を期待しがちですが、冷静に考えれば、タイアのような、スケールメリットが重要なコモディティ商品では、あるブランドが際立って高品質と言うことはあり得ないのです。ましてや、AVONのような弱小メーカーが、高品質のタイアを開発できるわけが無く、TURBOSTEELという二十年前のタイアの性能が、世界的な巨大メーカーの汎用タイアと比較して、優れているはずも無い。「ロールスにはAVONに限る」というのは男のこだわりとしては、良く分かりますが、身銭を切った一人としては、「どっちでもいいんじゃない」というのが本音です。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

AVONタイヤに対するコメントには脱帽です。まさに的を得ています。結局このタイヤは20年間ほとんど変化していないわけですよね。そうすると現在の進化したタイヤに比べて高品質のわけがない。まさに仰るとおりですわ。素朴な疑問ですが、SZ系のボディなど旧車にとっては逆に最新のタイヤの性能にボディーがおっつかない、なんて事はないんですかね?古い車でも最新のタイヤはやはりいいのか? いずれにしてもavonの安い入手ルートも教えて頂いたし、またavon以外でもOKであることもわかったし、来るべきベントレーのタイヤ交換のストレスから解放されそうです。多謝!

Felipe 四世 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
そうですね。この前、シルバースパーに乗ってみたんですけど、前言撤回ではないですがやはり、、AVONのタイアは、この車に合っていますね。それと、ホワイトリボンは捨てがたいですね。。真新しいAVONの乗り心地は、やはり気持ち良いですね。Satoruさんのご指摘どおり、この車の旧さと、絶妙にマッチングしているのだと思います。
今回の収穫は、AVONの格安ルートの発掘と、コンチネンタルのトータルバランスの良さの再発見ですね。

多分、中古のロールス乗りの方は、タイアで悩んでいるでしょうから、もしこのブログを何かのきっかけで、ご覧になったら、お役に立てるのではないかと思います。