「高慢と偏見」Pride and prejudice ジェイン オースティン作
元気はつらつとした知性をもつエリザベス・ベネットは、大地主で美男子で頭脳抜群のダーシーと知り合うが、その高慢な態度に反感を抱き、やがて美貌の将校ウィッカムに惹かれ、ダーシーへの中傷を信じてしまう。ところが…。ベネット夫人やコリンズ牧師など永遠の喜劇的人物も登場して読者を大いに笑わせ、スリリングな展開で深い感動をよぶ英国恋愛小説の名作。
私が、AMGに抱いていたイメージこそ、このAMGの高慢さに対しての偏見でありました。
四月上旬、横浜のとあるい外車専門店で、、、97年式、AMG CL600 7.0 エメラルド・ブラック 4.8万kmワンオーナー、D車という格好のサンプルがありましたので、試乗させてもらいました。まず見た目は、W140よりも、背が低く、全長が短いので、想像していたより取り回しは悪くないなという印象を受けました。既に日が暮れていたので、内装もよく見えなかったのですが、ノーマルのモデルとは、作り込みが違います。ウッドと革のオンパレードで、かなりの高級感があります。天井はアルカンタラ張りでした。自分のW140が、簡素に思えます。
では、試乗。昨日は、雨だったので、あんまりアクセルは踏めませんでしたが、流石に小生のノーマル140と違って、7.0 500馬力は大したものです。私に、このようなハイ・パフォーマンス車を評価するような、腕も経験もありませんが、自分の感覚をそのまま記すと、走行中は、ノーマルと体感上の差はさほど無いのですが、メーターを見てビックリと言う感じです。90年代までのAMGは、現代の評価基準で言えば、決してバランスは良くなく、代々に語り継いでいくような所謂「名車」と呼ばれるモデルは少ない。しかし、今でも我々のような中古車好きが食指を伸ばしたくなるような、魅力的なモデルも多々ありますね。
今回試乗したCL600 7.0も、そのうちの一つでした。多分、もうこのV12の7.0リットルというエンジンはもう二度と作られる事は無いでしょう。AMGのフラッグシップであると同時に、当時として、出来ることは全てやったというメーカーの「気合」は、10年落ちのこの車輌からも消え失せていないどころか、ますます濃厚に感じられました。
それから二週間後、私はAMGS600L 6.0を手に入れました。三重県に住むオーナーの元に引き取りに行った帰り、高速道路を中心におよそ400kmほど走行しました。結論から言うと、近年、私が入手した、あるいは経験した車の中では、極めて印象に残る車輌でした。これは、多分長い付き合いになりそうです。
しかし、買って、乗って、経験して初めて言えることは、世間でAMGほど誤解に満ちたブランドは他には無いのではないでしょうか?このW140ベースの12気筒のAMGには、三種類あるそうです。まず初期型のAMG600SELは、エンジンは、ノーマルで、アルミ、サス、マフラーエアロの4点セットに、オプションで特別内装というモデル。次に、S600L6.0は、エンジンをややいじって、440psにパワーアップし、先ほどの4点セットに加えて、より豪華なオプション内装が選択できるタイプ。私の購入したモデルはこれです。そして、7.0とか7.2というのは、馬力も500ps以上まで調教され、足回りもそれなりに変更刺されているタイプ。(ボディへの増し溶接も行なっていると思われる)これは、そもそもワンオフに近いので、流通そのものが殆ど無い。
当車輌は、ある関西の組織の長が、数年保有した後、下取りに出したが、流石に関西でさばけないので、名古屋のある外車屋(偶然、昨夏にカマルグを買おうとした店だった)に持ち込み、そこでも数年売れず、お店の名義で保有し、前オーナーがその店と懇意にしていた事から、これも何かの縁と、5年前に購入したとの事。前オーナーによると、初代オーナーは、流石に整備は徹底的にやっており、消耗部品や、準消耗品はすべて定期的に交換していたようで、自分がやることが、マウント関係の交換、油脂類の交換くらいしか無かったという。しかし、彼も、自分の所に来てからも、その間、屋根付のガレージに眠っており、5年で1万kmも乗っていないようだ。
田舎の空いた大きな国道を、ゆっくりと走らせてみる。はっきり足が硬いのが分かる。W140の12気筒モデル特有の、船で揺すられるような、フィーリングは一切無い。ブレーキング時、加速時、レーンチェンジ時、姿勢は極めて安定している。しかし、一般道での乗り心地は決して良くは無い。今ではとりたててて珍しくもない255/45/ZR18のタイアは、路面のわだちに敏感で、高速のつなぎ目には、それなりのショックを伴う。エンジンは、AMGの真骨頂であろう。数値的な出力は、ノーマルの10%増しなのだが、体感的には、15%増しという感じ。はっと気付くと、一般道でも100Kmになっている。加減速の際に、姿勢変化が無いので、スピードを感じにくいのだ。高速で、普通のペースで流していると、140Kmになってしまう。300kmメーターは怖い。内装は、素晴らしいとしか言いようがない。
元の600SELを知っているだけに、この作りこみの凄さが分かる。これだけでも買う価値はある。ロールス&ベントレーとはまた違う浮世離れした風情がある。私のは、グリーンとベージュのコンビと4座シート。ダッシュは、全て革張りのステッチ入り。天井はアルカンタラ。左右のドアもウッド尽くしで、開閉が重い。これはうれしい悲鳴だ。 やはり、ノーマルとの差額分だけきっちり仕事してあるという意味では、AMGも大した物だし、その分セッティングには時間とお金と経験が必要ということも感じられる。他のクルマでは、このような昂揚感は味わえない。
主に欧州のV12やV8の大排気量の中古車を、今までの常識や定説にとらわれず、独自の視点で車を選び、整備、お店との付き合い方、、、などを記録していきたいと思います。 お気軽に、コメントを頂けると嬉しいです。。
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1 件のコメント:
こんにちは。その後AMG S600Lはいかがですか? アクセルのfeelingなどまた教えて頂ければ幸いです。当方のCL600は相変わらずアクセル重く、キックダウンのタイミングも遅めで、いかにも高速に振った味付けのようです。CLだからそうなのか、600エンジン搭載の140全体に言えることなのか、はたまたAMGの味付けなのか、わからずじまい。最近は待ち乗りでは3速に入れて固定で走っております。キックダウンも速やかに2速に入り、これでやっとトルクフルに不満なく走れますが、邪道ですね。
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