さて、先週の火曜日は、朝9時から日曜日にもお世話になった、藤沢のオート新町まで、ひとっ走り。日曜日に初めてお世話になって以来、このお店の修理のレベルの高さ、作業の迅速さ、良心的な請求金額にすっかり惚れ込んでしまい、全て作業をここに任せようかと思っております。
「痒いところに手が届く」という言葉があるが、まさにここはそういうお店。創業来、三十年以上、この道一筋20数年のN工場長は、まだ四十代半ばの働き盛り。連休の間にもかかわらず、皆が手際よくてきぱきと作業をしている。
マスコミがもてはやす一部の職人気質の頑固親父系のメカニックの話はあまり好きになれない。「最近のクルマはコンピューターだらけで、、、云々」、よく見ると、リフトも無く、テスターも無い。おいおい、、コンピューターは、もうベンツなんか、20年近く前から使ってるって、、、 こういう趣味のお店って、店主の個性が強すぎると、何でも経験第一主義に陥ってしまい、逆に言うと世界が狭い人が多いような気がします。設備投資に金を使わない主義なんだけど、料金は一流なので、まあいい商売だとは思うが、そういう人はたいてい、株で損なんかしてたりして、興醒めです。
この工場で、4月29日に、600SLのガス漏れ修理があまりにも上手くいったので、「だったらベントレーは出来ますか?」「基本的には出来ますけど、ガスはR12ですか?」「はいそうです」「ガス漏れのストップリークは、R134専用なのでR134にコンバージョンしないといけません」「そうすると、リキタンとエキスパンションバルブも交換になりますか?」「いいえ、今のコンバージョンキットは交換無しでもできますよ」「えーっ本当ですか?」
他の店での、最初の診断は、ガスがなかなか吸い込んでいかなかったので、エキパンか、ホースのどこかが詰まっているので、出来れば全て交換した方が、長い目では安く付くと思います」との事であったので、これは嬉しい。 作業の手順は、まず真空引きをして、R12ガスとコンプレッサーオイルを出来るだけ除去し、その時点でのガスのリークをチェックする。ここで、問題なしとなれば、R134コンバージョンキットを、ガスとコンプレッサーオイルと一緒に注入し、R12用のオイルを中和する。その作業と並行して、ACストップリークを注入する。このキットには、蛍光剤も含まれているので、部分的な補修が必要な場合は、交換となる。
待つ事2時間。真空引きの結果、懸念してした、大きな漏れや、詰まりは無く、ギンギン冷えた冷気が出てきました。素晴らしい!!!これで、作業代金は、たったの46830円(税込み)。(その内部品代が24600円)知らない間に、外車のエアコンの修繕方法は、革命的な進歩を遂げていたのです。 この時期になると、外車のエアコンの修理で、電装屋は大忙しになる。外車でも、日本電産やサンデンなどの日本製に切り替えたメーカーのクルマは、対して壊れないが、ベンツ、BMWなどは、年代にもよるが、日本製にははっきりと耐用性で劣るBOSHなどを使っているので、トラブルも絶えないようだ。
かつて、ACは、中古外車維持の最大の鬼門であった。とりわけ、90年代前半までのR12仕様の車輌は、R12ガスの有害性で、ガスそのものが入手困難です。その為に、R134をR12に対応可能にしたものが出回っていますが、これはその後に、トラブルになるケースが非常に多いとの事。なんでも、中途半端はいけないのですね。一口にエアコンのトラブルといっても、単なる微細なガス漏れのようなものから、エキパンのつまり、ブロアモーターの故障、電装系の故障、エパゴレーターのガス漏れ、コンプレッサーの故障、ガス漏れ、、、など多種多様でかつ複合的なものが多く、そのトラブルシューティング能力が、修理の要諦ではないかと思います。
よくエアコンの故障というと、すぐにコンプレッサーの交換という、最悪コースを想像してしまい、胃が痛くなりますが、小生の場合は、過去にエアコンでのトラブルでコンプレッサーに原因があったケースは一回も無かったです。コンプレッサーというのは、思っているより丈夫ですし、最近はいいコンプレッサーオイルがあるので、何とかなる場合が多いのではないかと思います。また、ヤフオクでは、中古のコンプレッサーが、二~三万程度で出品されているので、もし駄目になっても、とりあえずは何とかなります。
ホース関係の漏れは、これも厄介です。とりわけ圧力かかる高圧ホースの金具部分のカシメのところからの漏れは、ケミカルでは無理な場合もあります。外車の場合、この高圧ホースが高いので、(ベンツでも7万程度、ジャガーやロールスの英国車は、もっと高いはず。ちなみにSZ系のロールスは、純正品で13万以上!!)悲劇を生む事も多かったのですが、小生は名古屋の専門工場に送って、ホースや金具ともに、国産部品を使用して、完璧にリペアしてもらいました。費用は1・5万でした。
なかば、消耗品扱いの、エキパンやリキッドタンクですが、エキパンが詰まってしまうのは、コンプレッサーから出てくる金属粉が原因になっていると言われますが、果たして10年以上の前の車で、そんな金属粉が出てくるでしょうか?私の想像では、その原因の一つとして、よく量販店やガソリンスタンドで使用している、R12対応の(134aを改良したもの)のガスと、すでにその車で使用していた、コンプレッサーオイルとの相性にあると思います。
私は過去に、このパターンで二回もエアコンが駄目になりました。ガス交換の際には、量販店やガススタンドは避け、専門店に持ち込み、必ず真空引きと、コンプレッサーオイルを全交換(それでも少しは残る)をして、以前のガスやオイルが混ざらないように最新の注意が必要ではないかと思います。 また、ガス圧の調整はかなり難しいそうで、慣れていないお店では、つい沢山入れてしまい圧力がかかり過ぎて、ガス漏れの原因になってしまうそうです。これは車ごと、その状態にもよるので、経験のあるメカニックに任せたほうが良いとの事です。
R134へのレトロフィットキットやACストップリークの考え方については、私がお願いした「オート新町」のN工場長によると、確かに今までは賛否両論だったそうです。かつてのケミカルは、水分に反応して固まってしまったので、当然エキパンとリキタンの同時交換が条件となりましたが、今のケミカルは、ゲル状のもので、空気に反応して固まるというか、凝固するそうで、これがコンプレッサー・オイルと、ガスに混ざって、エアコンのシステムの内部を、循環していく間に、問題のある箇所を抑えていくという修理方法なのです。(間違ってるかもしれませんが)よく、「R12対応のコンプレッサー」とか言うお店がありますが、そんなものは無いという事です。
しかし、エパボからのガス漏れは、完全に新品に交換しなければ、多くの場合は直りませんし、特にベンツの場合は、これは悲劇を生むケースが多々あります。小生も、R129,W140×2の三台で、来るべき悲劇に備えて、心の準備をしております。
それにしても、エアコンの修理も一声三十万だ、五十万という時代はすでに過去のものになりつつあるのではないかと思います。医療の世界でも、内視鏡手術が患者の心身の負担や入院期間の短縮で病院ともに大きなメリットをもたらしたように、最新のケミカルを上手く活用する事も、中古外車の維持には欠かせないポイントなのかなと思います。
このあたりの考え方や、知識は、コンピューターチューンと同様に、外車よりも国産車のチューナーの方々の世界では進んでおり、参考にすべき点は多々あります。
主に欧州のV12やV8の大排気量の中古車を、今までの常識や定説にとらわれず、独自の視点で車を選び、整備、お店との付き合い方、、、などを記録していきたいと思います。 お気軽に、コメントを頂けると嬉しいです。。
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