今回のオフ会で、一番お会いしたかった方は、金沢在住のS氏であった。年齢は、40代後半と、私よりもやや先輩だが、保有している車が、偶然にしてはあまりにもかぶっており、個体選びや、維持のコツなどあまりにも共通点が多く、不思議を通り越して、なにか運命的なものを感じていた。今回、乗ってこられたS氏のミュルザンヌは、わんこ氏が一度試乗したこともある個体。その試乗記は、金沢に住んでおられたS氏が購入を決意する上で、大いに参考になったという。
そして、この私こそが、わんこ氏に、SZ系ロールスの魅力をお伝えした張本人であり、ということは、私がS氏のミュルザンヌ購入にも、間接的にかかわっているのである。
私が、今回のオフ会に持ち込んだ車は、AMGのS600L 6.0。この車は、S氏もかつて、AMG CL600にて、アクセルフィーリングに、あれこれと悩んだあげく、結果的には、売却してしまったにモデルのセダン版。エンジンは全く同じである。このAMGのアクセルフィーリングについては、多くの方より違和感を指摘されていたので、同じ個体を持っていたS氏に同乗してもらって、感想を聞いてみたいと思っており、S氏も同じように、興味を持っておられた。
S氏のベントレーは、SZ系のRR&Bの中では、シリーズⅠと呼ばれる初期モデルであり、エンジンはノンターボで、足回りもノーマルである。となると、ロールスのような、ふんわりとした足回りを想像してしまうのだが、ベントレーはあくまでもドライバーズ・カーである。高速道でも、十分なスピードをやすやすと実現し、その大きさを感じさせないくらいに身軽なスポーツカーである。
私のターボRとの違いは、まずはタイアサイズ、足回りのセッティング、パワーステアリングの重さ、内装の革の使い方が異なっている。実際に、比較して言えることであるが、RR&Bの6.7リットルエンジンは、ターボか、ノンターボかは、あまり重要ではない。もちろん、ターボの方がパワーは大きいが、ノンターボでも十分に速いばかりか、エンジンフィールが自然なので、好ましいとすら感じる。
※以下は、調布にある、中古RR&Bの老舗、シーザートレーディングのHPより拝借した説明文。流石にうんちくあふれている。
ロールス・ロイスとベントレーの生産比率(オーダー数)を逆転させた立役者である「ターボR」。1965年から1980年の間に生産されたロールス・ロイスの4ドア・サルーンは、「30.057台」、これに対し、ベントレーの4ドア・サルーンは、その10分の1にも満たない、僅かに「2.289台」であった。この生産比率を逆転させる奇跡の原動力となったのが「ターボR」。只者ではない。
ターボRの原点は、1982年に発表された「ミルザンヌ・ターボ」から始まる。82年から85年の間に生産された、このモデルは、単にロールス・ロイス「スピリット」のベントレー版「ミルザンヌ」をターボ化したモデルで、、キャブ車のターボ、、今となっては、正直、よろしくない。当社も、よほどの個体でなければ扱わない。
85年からは、名称を「ベントレー・ターボ」とし、インジョクション式のターボ付きとなるが、本当の快進撃が始まるのは、1989年式モデルから、、この年、エンブレムが「ターボ」から「ターボR」に、ボディ前後サイドをエアロパーツで武装、ヘッドライトが丸め四灯となる。シートはバケットシート、タイヤは、ロールスの235サイズに対し、255サイズ、サス、ショック共に「硬め」、最高速度は軽く200kmを超える、、明らかに、ロールスとは違う、スポーツサルーン、、オーナードライバーズカーであることを強調。これが大ホームラン、名門「ベントレー」ブランドを復権してみせた。
1989年、ロールス社は歴史上初めて年間生産台数が3000台を超える(3254台)。1990年には、ついに、「ベントレー」の年間生産台数が「ロールス・ロイス」を上回り、更に大掛かりな改良が行われ、シリーズ2へ進化、この年のロールス社の年間生産台数(3274台)は、89年をも上回り、ベントレー全盛期を迎えることになる。
90年当時の新車価格は、
ベントレーターボR 3100万円(税別)
ベントレーラーボRL 3400万円(税別)
R・RスパーⅡ 3050万円(税別)
R・RスピリットⅡ 2750万円(税別)
この価格設定からも、ロールスよりベントレー・ターボの方が高級、、のイメージができあがる。
89年から91年にかけては、日本もバブル景気の全盛期、、多くのベントレーが輸入されたが、流石に時間が経ってしまった、、近年では、この年式の極上個体のR・R、ベントレーは、ほとんど、見なくなった。車自体は頑丈なのだが、中古車の流通価格が安くなりすぎて大切に扱われなくなったのが、最大の要因であろう。今や当社の仕入基準を満たす個体は、10台見て1台くらいであろうか、、近年、当社在庫に90年前後の4ドアサルーンが少なくなったのは、この為だ。
S氏のベントレー・ミュルザンヌSは、外装、内装は完全オリジナルのグッド・コンディション。もともとの状態が良かったこともあるが、S氏のもとにわたってから、コツコツと手を入れられ、極めて良好な状態で保存されている。これは、保存環境が極めて良いことに加えて、適切なDIY作業を、コツコツと行ってきたからであろう。室内の清潔さと美しさが、S氏の愛情を物語っている。
私が五年前に購入したターボRは、10年車庫に入れっぱなしのデッドストック車で、走行距離はたったの5800km!!購入当時は、あまりの程度の良さに、腰を抜かしたが、購入後すでに5年が経ち、屋根付きとはいえ屋外保管ということもあり、内外装のコンディションは、購入時から比べて、それなりにやれてしまった。黒のコノリーレザーにも、テカリが生じ、購入時の面影は既にない。
しかし、努力しだいで、コンディションは維持することができる。S氏のミュルザンヌは、私にとって、とてもいい励みになった。
日本において、極上のSZ系のRR&Bを探すことは、もはやかなり難しいと思われる。ここで、再度シーザートレーディングのHPより、シルバースパーⅡを例にとって、そのあたりの事情を説明した文章を引用させていただく、、
シルバースパーⅡは、1990年から1993年までの間に「1658台」を生産する。1989年から1991年にかけては、日本バブル景気のピークで、過去最高のロールスが輸入されてきた。が、現在(平成19年3月時点の資料)、日本に住んでいる(ナンバー登録されている)ロールス・ロイスの保有台数を見てみると、、、。
1989年 169台
1990年 288台
1991年 186台
この台数には、全てのロールス・モデルが含まれている。当個体の91年モデルは、もう既に「186台」しか国内になくなっている。少ない・・・186台の全てが素晴らしいコンディションというわけではない・・・と言うより、ほとんどダメな個体であろう。価格的に、ロールス入門車、実用車として最適なモデルが「スパーⅡ」だと思われるが、今後は、この数字を見ると、入手自体難しくなりそうである(極上個体に限り)。
新車時価格:30.500.000円 これに、消費税、登録諸費用が別途、、
新車3000万円オーバーの車は、新車2000万円級の車とは、まったく次元が異なる。平たく言うなら、現行の2000万円級モデル「フライング・スパー」なんかとは、ぜんぜん作りに金のかかりようが違うのである。
しかし、、探せばまだあるSZ系の極乗車。そんなのが、200万~300万で買えるなんて、夢のような話だと思いませんか?
2 件のコメント:
こんにちは。金沢在住のSです。私の車も取り上げていただき、光栄です。以前からFelipe4世さんとは、趣味が一致していると認識してましたが、最近私は2代目レンジローバーに興味が向いてまして(特にクリーム色系の内装、シートに)、Felipe4世さんの赤のやつをみて、ことごとく同じ趣向でおられるのを感じ、嬉しかったです。HPも充実して見事な出来映えですね。いつも楽しませてもらってます。今度はぜひ金沢で飲みましょう。
Satoruさん。御返事が遅くなりました。前回のオフ会、ホントに面白かったですね。。一泊二日では、物足りないくらい、、、あれだけ喋っても、まだまだネタは出て来ますから、、、
また、やりましょう!!金沢にも、遊びに行きたいと思っております。
なお、レンジ・ローバーは、探せばいい物件はありますが、そこまでハマる車でもないような気がします。決して悪い車ではないのですが、良くも悪くも大味ですし、アウトドアでの使用を前提としないのであれば、もったいないかも。。でも、雪国では、いざという時に頼りになる車かもしれませんね。
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