2009年5月30日土曜日

W124 500Eを再評価

来訪者の少ない、拙ブログにも、物好きな方がたまにコメントを残してくれる。その中でも、Y氏は、小生の自宅からすぐの、眺望最高のマンションにお住まいの、私とは一つ違いの青年。現在は、W124の500Eにお乗りであるが、英国者の経験も豊富なカーマニアである。1年くらい前に、Y氏のブログを、かつて拝見したことがあったが、あまりにもご近所の方なのでびっくり。世間とは狭いものである。

今回のミーティングは、Y氏がかねてより、SZ系のロールス&ベントレーに興味をお持ちであり、私の方から、「是非、乗ってみませんか」と試乗を持ちかけたことが始まりである。


Y氏の500E。93年式で18万kmとは思えないコンディション。電装系は、徹底的に修理され、外装はオールペイントされている。なお、室内のコンディションも良好。日常的なDIY整備をマメに行っている車特有の、清潔感にあふれている。

Y氏は、この500Eだけではなく、この数年に保有したすべての車の整備一式を、かつて「くるまにあ」誌上で、福野礼一郎氏と対談した、某県在住のとあるメカニック氏に全てお任せしているそうである。ご持参いただいた、整備記録と、その数100枚にも及ぶ修理個所の写真を拝見するだけで、Y氏のこの車に掛けるこだわりが感じられた。

1万km以下の少走行車を主に買い、整備にはあまりコストをかけない主義の私とは、対照的な車との付き合い方である。

やはり、この角度から見れば、普通のW124とは違う。ベンツの気合いを感じる。Y氏のこだわりで、完全ノーマル。こういう車は、ノーマルが一番良い。W124に、インチアップはデメリットの方が大きいと思う。特に、過走行車は、足回りの劣化がフィーリングに多大な影響を与えるので、タイアもあんまり高性能なものではなく、ややコンフォート寄りにした方が良いのではないかと思う。
いざい試乗してみると、当たり前だが、W124の小ささに驚く。この時代のE(ミディアム)というのは、現行ならばCクラスや3シリーズと同じくらいの大きさである。小生は日頃、W140やSZ系しか乗っていないので、このサイズは、本当に乗りやすく感じる。

実は、500Eは、今日が初めての体験であった。今まで、500Eにまつわる、さまざまな都市伝説や、ショップの流す風説の流布、それを真に受ける500Eマニアの狭窄かつ単純な思考に、なかば辟易していたのであるが、18万km走った、この500Eに乗って、自分なりにこのモデルの実像に触れることが出来た。

私の印象は以下の通り

①すでに、500Eといえど、今の時代の高性能車と比較して、決して速い車ではない。
②フィーリングは、昔のベンツそのもので、決してリニアなものではない
③駆動系の剛性感やスムーズ感は、やはり往年のベンツの良さを持っている。
④ある程度、スピードが乗ってきてからの、反応の良さ、ブレーキのフィールの良さは、流石。
⑤ボディの剛性は、年式や距離をあまり感じさせない。
⑥道路に吸いつくかの如く走る様は、この車特有のもの。

となると、同世代のW140なぞ、無意味にデカイだけの存在に思えてくる。少なくとも、ドライバーズ・カーとしての面白みは、あの大きさが相当スポイルしている。「大は小を兼ねる」という諺は、ここでは当てはまらない。

しかし、初めて乗って、こんなに乗りやすく、疲れない、ストレスを感じない、車も珍しい。パワーも十分、大きさも十分、乗り心地も悪くはない。W140やW126のような、「どんぶらこ感」は皆無だし、町中でも、高速でも、すいすい走れる。

500Eにはまった人がよく、「他に乗りたい車がなくなった」と言うのは、この車の万能感と、いざという時のための、絶対性能の高さであろう。「能ある鷹は爪を隠す」と言うが、まさしく500Eは、そういう車かもしれない。

ただ、この車に飽きてしまうと、本当に次にほしい車が見つからなくなり、心にぽっかり穴が空いてしまうのではないだろうか?そんなことを考えているうちに、小一時間の試乗が終わり、自宅マンションまで到着した。

Yさん。。また乗せてください。

洗車したばかりで、そこそこ綺麗なベントレー・ターボR。やはり黒は暑苦しいね。。内装も黒ですから、夏場はしんどいよ(泣)  
逗子マリーナ方面から、材木座へと抜けるトンネル。運転しているのは、Y氏。かつて、クラシックレンジローバーのオーナーでもあったので、違和感はなかったようです。

SZ系のロールス&ベントレーの運転のコツは、「車の行きたいように行かせる」こと、、、、なんて言うと偉そうだが、ハンドル切ってグイッと曲がったり、ブレーキ踏んだら、ピシッと停まる車でもないので、ある程度の余裕を持って、操作を行い、鷹揚な運転に徹することである。周りの車は自然に避けてくれるので、車間距離を詰めたり、割り込んだりしてはいけない。こういう車にプレッシャーをかけられるというのは、怖いものなのである。

Yさん、SZ系のロールス&ベントレーを買う時には、ぜひご相談ください。外れ物件が多いですが、1年に一本くらいは、極上車がひょっこり出てきますよ。そういう時は、値段を考えず、買ったもん勝ちです。

3 件のコメント:

Yajima さんのコメント...

昨日はありがとうございました。
極上ベントレー堪能させていただきました。
久しぶりに英国車に乗りましたが、やはり良いですね。
ドイツ車の機能一辺倒で殺伐としたインテリアに比べると、おもてなし感たっぷりでリラックスして運転できます。
500Eも気に入っていただけたようで何よりです。
またお会いしましょう。

MUT さんのコメント...

名古屋在住の好き物です。偶然このブログを見つけました。私も1992年のシルバースパーⅡを所有しています。25,000km程の走行です。ワインレッドのロングホイールベース版で、自分としては極上だと思っていますが、Felipeさんには負けそうですね。
私は「金食い虫の我儘なイギリス女」に乗っていると鷹揚な大人になれたようで、休日やゴルフ行きに楽しんでいます。
しかし・・・先月車検の折にちょこっとのオイル漏れを直したら、修理代だけで50万でした!車検は10万切ったんだけどなぁ。こんな事の繰り返しです。お互い楽しみましょう。

Felipe 四世 さんのコメント...

MUTさん、ようこそいらっしゃいました。RR&Bの情報って入りにくいですよね。私も苦労しました。いろいろと情報を交換し合って、「お得」な整備をしていきたいですね。。

また、ご感想をお書き下しさい。