今回の修理が長引いた経緯としては、1号機の売却に伴い納車前に様々な整備を行ったり、CL600の車検落ちの為に、整備が割り込んだり、、、そのために、私の車ばかりで整備工場の駐車場を占有するわけには行かず、交換部品を持ち込んで、実際に作業を再開したのは10/4(土)であった。
先に、高圧ホースのリペアは完了していたので、用意するものはエクスパンション・バルブ 51.0£(約8700円)とリキッドタンク (レシーバードライヤー)65.0£(約11200円)である。こちらは、Vベルト一式と一緒に英国の部品商であるFlying Sparesにてオーダーしておいた。明細はこちらである。
この年代のベントレーのエアコンに関しては、過去に三台中、三台ともエアコンは修理したので、個人としてはもっとも経験を積んでいると、ひそかに自負している。おおまかな症例は、過去の投稿をご参考にしていただくとして、日本において正規ディーラーにて修理したらどれだけかかるのかをここで検証したい。
では、SZ系のRR&Bのメンテナンスの教科書といえば、福野礼一郎氏の「極上中古車を作る方法」であるが、この中にもエアコンの修理に関する記述がある。
英国から直輸入すると、エキパンは8700円、リキッドタンクは11200円、高圧ホースは、専門の業者に依頼するとおよそ9000円で、合計は28900円だ。厳密には、輸入にかかる送料や関税がかかるがわずかなものだ。およそ1/8の費用で済んでしまうのは、日本の輸入車の業界がいかに暴利をむさぼってきたかということだ。
このパーツ価格は、英国における純正品価格よりもディスカウントされているが、それでもあまりの価格差に驚く次第だ。
さて、次は工賃の比較を行う。上記の部品交換および真空引きおよびガスチャージ代金は、77500円になる。これが高いか安いかは判断は難しいが、ベントレーのエキパンやリキタンの場所はボンネット内にあり、メルセデスのようにダッシュボードを全バラシしないといけないような物ではない。
では私が依頼した作業の明細をお見せしよう。
全部で21600円と正規ディーラーのコーンズよりもかなり安い価格である。これはR12対応のエアコンガスを持ち込んでいることを考慮しても、工賃はやはり高いといわざるを得ない。
これは、ブレーキ・アキュムレーターやATオイル、クーラントなどの修理明細。
ベントレーの作業性は決して悪くは無く、ドイツ車のような合理性は無い代わりに、理詰めではないが、非常に実用的な考えで設計されており、非常に修理がしやすいのではないかと思う。また、部品そのものの品質が高いので、ジャガーのように部品を買えても直らないというようなあり地獄には無縁である。
反面、旧いモデルを何度も改良しながらモデルチェンジしたこともあり、理解に苦しむ設計がなされていることも確かである。高級車の舞台裏をのぞくと、「案外たいしたこと無いな」という気持ちになる時もままある。
しかし、ねじ一本に至るまで徹底的に施されたさび止めの鍍金や、見事なコノリーレザーの風合い、上品なラッカー塗装のボディワーク、そしてうっとりするようなウォールナットのパネル、、
これらは、ベンツでもBMWでも、他の車では決して味わえない世界である。